植村知一郎エッセイ

清楚で無垢な・・・夏の草花『サギソウ』
知ってお得な夏の山野草 サギソウ&トキソウ植え替えについて…その1

 夏咲きの山野草で最もポピュラーなサギソウ。植え替えは"1月末〜2月が旬"です。
雪国にお住まいの方は雪解け直後に植え替えます。

   花咲く季節になりますと、サギソウは殆どの園芸店で販売されるようになりました。僕が山野草栽培を始めた30年ほど前は、極一部の専門園芸店でしか入手出来なかった植物です。

 サギソウは球根性のラン科植物で、球根が毎年2〜3倍に殖えますから普及しました。

 20年くらい前は"ミズゴケ植えで花咲く初心者用の山野草"として、サギソウは定着していましたが、現在、毎年花を咲かせ、殖やすには"難しい達人用山野草"となっています。

 ナゼでしょう?

 原因は幾つか考えられます。

 ひとつは培養土「ミズゴケ」です。昔のミズゴケは国産が普及していました。乾燥状態で販売されていましたが、水を与えると蘇るほど"緑色"が多くて良質でした。

 現在、普及しているミズゴケの殆どは、ニュージーランド産です。南半球の国からの輸入ですから、季節は逆様、ミズゴケの質も劣化するようになりました。

 殆どの栽培書に「サギソウの培養土はミズゴケで…」と古くから記されていますので、良質では無いミズゴケで植えてしまいますとサギソウも弱ってしまいます。

 加えて乾燥させたミズゴケは、毎年必ず腐りますので、年に一度は植え替えを行わなくてはなりません。発芽前の厳寒期に植え替えを行う作業は、手も冷たくなり辛いです。

 そこで「秘訣」をお伝えします。  サギソウ栽培用土にミズゴケは止めて、少し高価な培養土ですが「焼赤玉土」を用います。大きな園芸店では販売されていますが、もしも無ければお近くの園芸店へ取り寄せてもらう事も可能です。その際「焼赤玉土の細粒を…」と注文して下さい。焼赤玉土・細粒は、サギソウ以外にも使える万能培養土ですからお勧めします。 段ボール  

次に用意するのはコレ… 段ボール。

 段ボールを絆創膏くらいの大きさに切り取り、焼赤玉土・細粒に混ぜ合わせます。比率は焼赤玉土7に段ボール3くらいが適当でしょう。 

 段ボールは、まだ詳しく解明されていませんが、ラン科植物の栽培培養土として優れた効果を発揮します。ラン科植物は"ラン菌"と共生していますが、最新の情報では、ラン菌を段ボールが活性化させるそうです。

 こうして焼赤玉土・細粒プラス段ボールを培養土として用いますと、短くても3年は植え替えせずに済みます。

 次に栽培が難しくなった原因ふたつめ…は「目に見えない害虫の猛威」が考えられます。

 体長0.1ミリ程の昆虫:アザミウマはサギソウなどの夏咲きラン科植物のツボミを食害します。とても小さくて気づかず、ツボミが付いても咲かない時は、殆どこの昆虫が原因です。  対処方法として、サギソウ発芽直後と、梅雨入り前に「モスピラン系薬剤」を撒きますと、薬剤が植物の中まで浸透しますので害虫を阻止出来ます。浸透性薬剤の代表格・オルトランでは効果が現れません。

 でも…なるべくなら薬剤を使わずに栽培したいですよね…。

 それには、サギソウを自生地同様として強健にしなければなりません。もう幻となりつつありますが、サギソウの自生地には害虫が侵入していない現実があります。

 つまり「自然状態に近い環境で育てる」これこそが秘訣と言っても過言では無いでしょう。

 サギソウの球根は大豆ほどの大きさですと開花球です。焼赤玉土・細粒プラス段ボールの培養土へ、開花球を中心に添えます。大豆よりも小さな球根は、鉢の周囲に植え付けますと開花時に見栄えが良くなります。  そして発芽して開花が終わる頃まで、週に一度の割合で、ブレンドぶどう糖の植物活性剤「スーパー・エコ すくすくハイパワー」を与え続けますと、強健になります。  次に「サギソウは日照を好む」と殆どの栽培書に記され、実際、自生地も日当たりの良い湿原ですから、お日さまの光を好む、と考えがちになっています。

 ところが自然のサギソウは、日当たりの良い湿地にポツンと生えているのではありません。ほかのイネ科植物などと一緒に生えていますから、サギソウ自体は、むしろ「半日陰=明るい日陰」を好みます。 

 植物活性剤「すくすくハイパワー」と共に明るい日陰、もしくは「紅チガヤ」などを一緒に植えて、日当たりの良い場所へ鉢を置きますと、最も、自然状態に近い環境となり、「すくすくハイパワー」の栄養分で強健にもなりますし、球根の数も多く殖えます。

 僕は去年の夏「すくすくハイパワー」を用い、サギソウの鉢を敢えて暗い場所へ置きました。 サギソウ

 そうしましたら、なんと枝垂れ咲きになり、まさしく白鷺が舞う如くです。勿論、害虫・アザミウマなど発生しませんでした。

 因みにサギソウとは東北地方から九州まで自生し、寒い気候の場所は早咲き(7月頃)で、南の暖かい気候では遅咲き(9月初旬)の特徴があります。 

 僕が栽培しているサギソウは伊豆半島産で30年前から育てています。サギソウは山野草シード・バンクリストには載せていませんが、伊豆半島球根(8月初旬咲き)をご入り用のお方はお知らせ下さい。

 また園芸店でサギソウやトキソウをご購入の際には、葉をよく観察して下さい。不自然な形で葉がU字系に曲がっていますと、完治不可能なウィルスに冒されていますから要注意です。

トキソウ ヤマトキソウ
トキソウ(滅多に見られない自生地画像)   ヤマトキソウ(こちらも左と同様) 

 では、次回はトキソウの植え替えについてお話ししましょう。